わが国において、医療機関の経営母体はバラバラです。
市町村立病院や都道府県立病院のような公立病院もあれば、
国立病院機構、済生会、そして当院の経営母体である日本赤十字社などの公的病院もあるし、
大学病院も、労災病院やJA、JCHOなどの組織もあり、
もちろん私立の病院もたくさんあります。
平時バラバラな組織で働いている医療機関が災害時もバラバラに医療を提供していては非効率的です。
一部の病院に患者が殺到したり、逆に医療者が集中したりする恐れがあるからです。
災害時、全ての医療機関は都道府県を頂点とした組織としてまとまる必要があります。
各病院はあらゆることを誰に報告し、誰の指示を受けて運営すべきか、
その辺りを整理しないとあらぬ混乱を招くこととなります。
もちろん個人レベルでも同じです。自分が誰の指示に従うべきか、
誰に指示をして組織を運用していくべきか、
常に整理していなければ混乱してしまいます。
これがCommand(統制)です。Commandは組織の縦串です。
それに対して、他組織の誰に相談すべきかも非常に大事です。
最前線で活動中の救護班が自衛隊に車両で患者を運んでほしい、とお願いする時、
防衛大臣にいきなり相談しないのは常識的にわかりますよね?
自分と同程度の範囲を統括する人に相談しないと、話がこじれてしまいます。
それぞれの組織が縦串で貫かれている状況で、同じ階層どうしで連携の横串を刺していかなければなりません。
この横串をControl(調整)と呼びます。
災害時にはまずは組織の構築を目指さなければならないのです。