Japanese Red Cross Medical Center Emergency and Critical Care Medicine Center

災害とは(詳細編)

災害の定義には諸説ありますが、医学的な災害の定義としてはWADEM理事長であったGunnによる「人と環境との生態学的な関係における広範な破壊の結果、被災社会がそれと対応するのに非常な努力を要し、被災地域以外からの援助を必要とするほどの規模で生じた深刻かつ急激な出来事」というのが広く知られています。

これに沿って考えると、その被災社会のインフラとしての救急医療体制やその能力、キャパシティによって同じ事象であっても災害になるか否かが変わることもあると言ってよいのではないでしょうか?

大都市圏では多少の傷病者数なら分散搬送して処理するだけの医療施設があるかも知れませんが、地方であればもともと医療機関が少なく、キャパシティが少ないため、同程度の事案であっても「災害」と呼ばざるを得ないこともあるのではないでしょうか。

この点については災害の定義も含めて異論があるところかも知れませんが、災害に対する備えを進めることで「災害の閾値」を上げることを目指すべきというのは異論はないでしょう。施設や機関の設置・補強のみならず、連携体制の構築・強化から各人のスキルアップまで、災害に備えて実施すべき準備は数知れずあると思いますので、是非とも頑張っていきましょう。

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