Japanese Red Cross Medical Center Emergency and Critical Care Medicine Center

ドクターカーができるまで

ここでは、日本赤十字社医療センターのドクターカーができるまでの様子を紹介します。

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車種
納入業者
架装した会社
 赤色灯架装後の様子
 前後の赤色灯
 日赤無線とサイレンアンプ
反射材の会社
 反射材の種類
反射材の貼付を担当した会社
 反射材貼付の様子
デザインの裏話

車種

ホンダ ヴェゼル

①災害時でも確保しやすいガソリンが基本燃料で電源にもなり得るハイブリッド車、②悪路を伴う災害現場でも走行できるSUV、というコンセプトで車種を予算をもとに選定しました。都心部の狭い道路を走行する必要があるため、大きすぎない車両としました。

納入業者

入札により、日本船舶薬品株式会社が納入することになりました。2020年3月に納車されました。

架装した会社

光伸株式会社が架装してくれました!(バス型のドクターカーやその他緊急自動車以外にも、様々な車両を取り扱っています。)

様々な要求にも応えて頂き、高性能かつ安全性が極めて高い車両となりました。工場に足を運んだ際にも優しくご対応いただき、反射材を貼付する場面に立ち会わせて頂きました。

赤色灯架装後の様子

ドクターカーは緊急自動車に指定されるにあたり、赤色灯(道路運送車両等では警光灯といいます)やサイレンの搭載が必要です。そのためには天井の補強や配線が必要であり、特殊な技術が必要です。

前後の赤色灯

日本赤十字社医療センターのドクターカーは、安全性を重視し、天井上に加えて、前後にも赤色灯を搭載しています。

前方の赤色灯は点滅(緊急走行)するときには赤色、普段は透明色です。通常、車両の前方を意味するのは白色(ヘッドライトの色)、後方を意味するのは赤色(テールライトの色)です(道路運送車両の保安基準等)。そのため、緊急走行を行わない(点滅しない)ときには赤色でないことにより、車体後方と勘違いしないようにしています。

また、なるべく車体の最前部に装着することで、ビルの間から交差点等に緊急走行で進入してきた際にも一番最初に顔を出し、車両に気づきやすくすることができます。同時に、車体の最下部にすることで、ドクターカーの前方を走行している車両のバックミラーに映り込む際、最遠方で映り込むことが可能になります。

後部の赤色灯はトランクを開放している際に威力を発揮します。

ドクターカーが停車して活動している際に、トランクを開放すると天井に取り付けた赤色灯が隠れてしまいますが、こうすることで荷物取り出し中でも後方車両にドクターカーの存在に気付いてもらえるようになります。

活動中の医療スタッフが後方にいるときこそ、後方車両の衝突防止策が特に必要です。自発光する装置は最高部に装着することでより遠方から気づいてもらうことができます(反射材は最下部が理想です。詳細はこちら

日赤無線とサイレンアンプ

ドクターカーには日赤無線(日本赤十字社は業務用無線を備えています)を搭載しており、平時から災害時まで通信がおこなえるように工夫されています。

また、サイレンには救急車両で一般的な「ピ~ポ~音」と「ウーウー音」に加えて、「キュイ~~ン」という注意を促す音を搭載しています。人通りや交通量の多い地域(例えば、渋谷スクランブル交差点など)を走行しなくてはならず、可能な限り事故予防がおこなえるように配慮しています。

様々な装置を搭載する必要があり、たくさんのわがままを要求しましたが、光伸株式会社の尽力により、限られた車内スペースを最大限活用し、実際の活動でも使いやすいように工夫して頂けました。

 

反射材を提供して頂いた会社

ドクターカーの視認性を高め、安全を確保するために反射材を貼付しています。

ヨーロッパ圏やアメリカでも広く実績のあるエイブリィ・デニソン社製品を使用しています。今回、全面的にご協力頂き、日本で初めて、再帰性に富んだ反射材を広範囲に貼付したドクターカーが実現しました。

エイブリィ・デニソン社のFacebookページでご紹介いただきました。

反射材の種類

ドクターカーの使用に耐え得る反射材V-8000シリーズ)を使用しています。当時、国内ではまだ流通していませんでしたが、ヨーロッパ圏を中心に世界標準となっている色調を全て準備して頂きました。まさに「この反射材なくして、このドクターカーなし」です。

この反射材は再帰性に富んだ性質を持ちますが、数ある反射材の中からこの反射材を採用したのは、【1】反射率が高い(プリズム式で輝度が高い、詳細は別ページへ)、【2】蛍光色がある(薄暗いときも有効、詳細は別ページへ)、【3】車両用に特化している(塩化ビニル製で貼りやすい)、【4】加工がしやすい(切断面からの劣化がなく反射能力が保たれる)、ためです。

側面には蛍光黄色と緑色、後面には蛍光黄色と蛍光橙色を使用しています。また、赤十字マークには白色と赤色を使用しています。

反射材の貼付を担当した会社

バスやトラックのラッピングなどで実績が豊富な、株式会社エクシング社にご協力頂きました。

緊急自動車に対してプリズム式の反射材を広い範囲で貼付するのには高い技術が必要です。今回の車両はボディが立体的にデザインされているため、伸展性のある反射材であったとしても、思い描いたデザインを3D構造を考慮した上でカッティングし、最低限の隙間で貼付するのは困難を極めます。

当センターの希望した通りのデザインを実現して頂き、担当者としては大変感謝しています。

試験的なカッティングの後に、一度実車でテストした上で調整の上、複数反射材を切り分けて本貼りする流れです。とても手間がかかっていますが、理想通りのデザインが実現できました。

反射材貼付の様子

広い面積の反射材(平面)を、3次局面(前後、左右、上下の三次元におよぶ歪み)に貼付するのはかなりの困難性を伴います。多くのSUVは空力特性に配慮した車体(に加えて見た目のカッコ良さ)を追求すべく車体に局面が多く存在するため、難易度は極めて高いといえます。

一方、反射材は再帰反射させるための構造が必要であり厚みがあるため、これも貼付困難性に影響します(今回は、プリズム式=輝度が高いものにしたため、反射材の層構造が複雑で厚みも必要です)。今回、日本で初めて広い面積にプリズム式反射材を貼付しましたが、エイブリィ・デニソン社の反射材が塩化ビニル製で伸展性があるため、ある程度の局面にも耐え得ることがわかりました。

また、平面(2次元)を3次局面に貼付するとズレが生じ得ます。デザインが複雑であるため、色の異なる反射材同士で相互にズレが生じる可能性がありました。しかし、株式会社エクシング社の事前想定と繰り返す検証により予定通りのデザインが達成されました。

デザインの裏話

異なる色を交互に並べることで、街中・高速道路・郊外などの災害現場でも気づきやすくなります。

この市松模様のように長方形が交互に並んだマーキング(模様)のことをBattenburg Markingといいます。

 

 

 

 

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